変形性膝関節症と足の関係|足部機能が膝の痛みに与える影響とは?
変形性膝関節症と足の関係|足部機能が膝の痛みに与える影響とは?
「膝が痛いから膝だけを治療しているけれど、なかなか良くならない…」
そのようなお悩みを持つ方は少なくありません。
実は、変形性膝関節症(膝OA)による膝痛は、膝だけの問題ではない場合があります。
近年では、膝関節だけではなく、足部機能や足関節の動きが膝への負担に大きく影響することが明らかになってきています。
足は身体の土台です。
土台が不安定になると、その上にある膝関節にも過剰な負担がかかる可能性があります。
今回は、変形性膝関節症と足部機能の関係について、理学療法士の視点から解説します。
なぜ膝だけ治療しても改善しないことがあるのか
変形性膝関節症は、加齢や体重増加、筋力低下など様々な要因が関与して発症します。
しかし、人の身体は膝だけで動いているわけではありません。
歩行や立ち上がり動作では、
- 足部
- 足関節
- 膝関節
- 股関節
- 骨盤
- 体幹
が連動して働いています。
このような考え方を**運動連鎖(キネティックチェーン)**と呼びます。
例えば、足部の動きに問題があると、その影響が膝へ伝わり、膝関節内側への負荷増大につながることがあります。
そのため、膝痛を評価するときには、膝だけでなく足部や歩行全体を確認することが重要です。
足部は身体の土台
足部には片足だけでも26個の骨が存在し、複雑な構造によって身体を支えています。
足部の主な役割は次の3つです。
1.衝撃吸収
歩行時には体重の1〜3倍程度の力が足に加わるといわれています。
足部のアーチ構造は、この衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。
2.身体を安定させる
立位や歩行時に身体のバランスを保つためには、足部の安定性が欠かせません。
3.推進力を生み出す
歩行の終期では、足趾や足関節が働くことで身体を前方へ進めています。
これらの機能が低下すると、膝関節に過剰なストレスが生じる可能性があります。
足部機能低下が膝に及ぼす影響
足部の過回内(扁平足傾向)
足部が過度に内側へ倒れる状態を過回内と呼びます。
過回内が生じると、
- 脛骨の内旋
- 膝の内側偏位
- 膝内側コンパートメントへの負荷増加
などが起こりやすくなります。
特に、扁平足傾向の方では、膝痛との関連が指摘されています。
詳しくは
▶︎【扁平足と変形性膝関節症の関係】の記事をご覧ください。
足部の過回外
一方で、足部が硬く、外側荷重が強い方では衝撃吸収能力が低下します。
結果として、歩行時の衝撃が膝へ直接伝わりやすくなることがあります。
足関節の可動域低下
足関節、特に背屈可動域の低下は、変形性膝関節症患者でよくみられる特徴のひとつです。
足首が十分に曲がらないと、
- 歩幅の減少
- 膝の内側偏位
- 足部の過回内
- 体幹前傾
などの代償動作が生じることがあります。
その結果、膝への負担増加につながる可能性があります。
詳しくは
▶︎【足首が硬いと膝が痛くなる?】の記事もご覧ください。
変形性膝関節症患者でみられる足部の特徴
臨床では、変形性膝関節症の方に以下の特徴を認めることがあります。
足部
- 扁平足傾向
- 足部アーチ機能低下
- 足趾機能低下
足関節
- 背屈可動域制限
- 足関節周囲筋の筋力低下
歩行
- 歩幅の低下
- 歩行速度の低下
- 立脚期の不安定性
もちろん、すべての方に当てはまるわけではありません。
そのため、個々の状態を評価することが重要です。
PHYSIOで行っている膝痛と足部の評価
PHYSIOでは、膝痛の方に対して、膝だけでなく全身の動きを確認しています。
主な評価内容は、
足部評価
- ポドスコープ
- フットプリント
- FPI(Foot Posture Index)
- 足趾機能
歩行分析
- 歩行動画解析
- 動作分析
足関節評価
- 可動域測定
- 筋力評価
靴評価
- 靴のサイズ
- フィッティング
- 靴底の摩耗
必要に応じて、インソール作製や運動指導も行っています。
まとめ
変形性膝関節症では、膝そのものだけではなく、足部や足関節機能が膝への負担に影響している可能性があります。
もし、
- 膝の治療を受けても改善しない
- 歩くと膝が痛い
- O脚が進行している
- 足や靴にも不安がある
という方は、一度足元から身体を見直してみることも大切かもしれません。
膝痛の原因は一人ひとり異なります。
大切なのは、膝だけではなく「身体全体を評価すること」です。
参考文献
Levinger P, et al. Foot posture in people with medial compartment knee osteoarthritis. J Foot Ankle Res. 2010.
Bennell KL, et al. Role of muscle in the genesis and management of knee osteoarthritis. Rheum Dis Clin North Am. 2008.
Gross KD, et al. Association of flat feet with knee pain and cartilage damage. Arthritis Care Res. 2011.

