座りすぎによる循環への悪影響
座りすぎによる影響は循環にも関係しています。
私たちの血液は主に身体のポンプ作用によって、全身から指先まで循環しています。
主なポンプ作用を担う部位で有名なものは「心臓」です。
基本的には心臓がポンプ作用の中心で、身体の隅々まで血液を届けています。
ですが、身体のポンプ作用を担う部位はこの他にも大きく2つ存在します。
それが「筋肉」と「呼吸」です。
この二つは主に身体に送られた血液を心臓に返すときに働いています。
わかりやすいのがふくらはぎの筋肉です。
私たちは普段、立ち座りや歩行など足を使うことによって、ふくらはぎの筋肉を収縮させています。
このとき筋肉の収縮と同時に、血管に残っている血液を筋肉の力で押し出し、心臓に返しています。
呼吸によるポンプ作用も同様に、呼吸運動によりお腹に圧がかかることで、主にお腹の血管にある血液を心臓に戻しているのです。
これらの二つのポンプ作用によって、心臓に血液が十分な量が戻っているからこそ、心臓も全身に送る血液の量が確保されています。
では座りすぎの人はどうでしょうか?
立ち座りや歩行の機会が減っていることによって、ふくらはぎの筋肉は収縮する機会が減っています。
そのため、通常よりも筋肉のポンプ作用によって血液を心臓に返せなくなっています。
さらに先ほど座っている人は呼吸もしにくくなっていることを説明したように、呼吸のポンプ作用も低下している状態になっています。
この二つのポンプ作用が機能低下をきたしているため、心臓に戻る血液の量が、座りすぎの人は少なくなっている可能性があります。
血液の量が少ない場合、心臓は送り出す量を回数で補おうとします。つまり心臓を通常よりも多くの回数動かすことによって、必要な血液の量を補おうとする働きが生じます。
心臓の動く回数が増えるため、人によっては動悸を感じたり、不快感を感じたりするため「何か落ち着かない」などの症状が出る可能性もあるかと思います。
このように座りすぎには筋肉のコリや関節が硬くなるなどの症状以外にも様々なことが起こりやすい状態になっています。
そのため、健康的に働くためには座りすぎを解消する必要があります。
座りすぎを解消するためには環境を変えること
では長時間パソコン作業するデスクワーカーが座り過ぎを解消するためには、どうすれば良いのでしょうか?
解決策はとてもシンプルで、「定期的に立ち上がる習慣をつける」か「座らない(座る時間を減らす)」のどちらかです。
経験上ですが、定期的に立ち上がる習慣をつけるのは、作業環境的に難しかったり、作業に集中しているときには、立ち上がることによって集中が途切れてしまい、作業効率が低下したりと難しい場面が多くあります。
そのため、現実的な手段としては「座る時間を減らす」方が導入しやすいと思います。
「座らないで作業なんかできない!」
と思う方もいるかもしれませんが、現代では「スタンディングデスク」と呼ばれるような、立った状態でも快適に作業できる道具が販売されています。
立ったまま作業していたら、余計に身体が痛くなるのではないかと心配される方もいるかもしれません。
確かに立ち仕事などで腰痛を起こしたりする方もいるため、立って作業することが万能ではありません。
ですが立つことの最大の利点は、姿勢を変えることが容易な点だと思います。
立っている姿勢は、座っている姿勢と比べて、身体の関節が動かしやすい状態です。
そのため姿勢をそのときの状況に合わせて調整することが容易であるとも言えます。
特にデスクワークの方の場合は、元々座って作業するため、立った状態で疲れたら座って作業することもできます。
大事なことは、立って作業することではなく、「立つことも座ることもできる環境で作業すること」です。
最近では高さ調整が可能なスタンディングデスクも増えてきているので、一台あればさまざまな姿勢で作業ができます。
座りすぎ解消の秘密兵器として、お近くの家具屋などで実物を見てみてください。
長く健康的に働くためにも身体のことを知りましょう
今回は、座りすぎによる影響を呼吸や循環の観点から解説しました。
これからの時代、肉体労働よりもパソコン作業をはじめとした知的労働の割合が増えてくることが予想されます。
つまり、今までより働ける年齢も上がっていきますし、もしかしたら定年という概念も無くなっていくかもしれません。
現在は「人生100年時代」と言われています。
仕事は人生の中でもかなり重要な役割を担っていると私は考えています。
長い人生健康的に働けるように、身体のことについて少し興味持っていいただけたら幸いです。