ストレートネックと肩こり
理学療法士が見る「首と肩の関係」


肩こりの相談を受けたとき、
「ストレートネックですね」と言われた経験がある方も多いかもしれません。
確かに、ストレートネックの人では
肩こりが起こりやすい傾向があります。
しかし実際には、
首の骨の形だけで肩こりが決まるわけではありません。
理学療法士の視点では、
首と肩の筋肉の働き方の変化が重要なポイントになります。
肩こりが起こる仕組み
肩こりは、主に次の筋肉の疲労によって起こります。
・僧帽筋
・肩甲挙筋
・後頭下筋群
これらの筋肉は、
頭の重さを支える働きを持っています。
人の頭は約4〜6kgあり、
姿勢が崩れるとこれらの筋肉に大きな負担がかかります。
特に頭が前に出た姿勢では、
肩から首にかけての筋肉が
常に緊張した状態になりやすくなります。
この状態が続くことで、
慢性的な肩こりが起こることがあります。
理学療法士が見る肩こりの特徴
PHYSIOで肩こりの方を評価すると、
次のような特徴が見られることが多くあります。
・肩甲骨の動きが少ない
・胸郭が硬い
・背中が丸くなっている
このような姿勢では、
肩甲骨が本来の位置で動きにくくなります。
肩甲骨が動かない状態では、
首周囲の筋肉が代わりに働くことになります。
その結果、
首から肩にかけての筋肉の負担が増え、
肩こりが慢性化しやすくなります。
肩甲骨と首は連動している
肩甲骨と首は、
筋肉によって密接につながっています。
例えば
僧帽筋
肩甲挙筋
などは、
首と肩甲骨の両方に付着しています。
そのため、
肩甲骨の動きが低下すると
首の筋肉の負担が増えることがあります。
逆に、
肩甲骨がよく動く状態では
首の筋肉の負担は減少します。
Fasciaの視点から見る肩こり
身体は筋肉や関節だけでなく、
Fascia(筋膜)という結合組織のネットワークで全身がつながっています。
この組織は、
姿勢の持続や運動不足などの影響を受けやすい構造です。
長時間同じ姿勢が続くと、
・滑走性低下
・柔軟性低下
といった変化が生じる可能性があります。
その結果、
肩甲骨周囲の動きが低下し、
首や肩の筋肉に負担が集中することがあります。
マッサージだけでは改善しにくい理由
肩こりはマッサージを受けると
一時的に楽になることがあります。
しかし、すぐに症状が戻るケースも多く見られます。
その理由は、
・姿勢
・肩甲骨の動き
・運動不足
といった原因が変わらないためです。
筋肉をほぐすだけでは、
身体の動きそのものは変わらないため、
同じ負担が肩にかかり続けてしまいます。
肩こり改善のポイント
肩こりを改善するためには、
次の点が重要になります。
・肩甲骨を動かす
・胸郭の柔軟性を保つ
・長時間姿勢を避ける
・適度な運動を行う
首だけをケアするのではなく、
身体全体の動きを改善することが大切です。
まとめ
ストレートネックと肩こりは関係することがありますが、
原因は首の骨の形だけではありません。
多くの場合、
・肩甲骨の動きの低下
・姿勢の崩れ
・運動不足
などが関係しています。
肩こりが続く場合は、
首だけでなく身体全体の動きを見直すことが
改善のきっかけになることがあります。
【根拠】
Fasciaは筋・関節・神経などを連結する構造であり、
姿勢の持続や運動不足により柔軟性低下や滑走性低下が生じる可能性がある。
また、身体への適切な力学的刺激(運動)は
結合組織の適応や機能維持に関与するとされている。
【出典(参考文献)】
・今北英高ほか:Fasciaとは-解剖生理学的意義の見地から.臨床スポーツ医学,2020
・Schleip R:Fascial plasticity – a new neurobiological explanation.2003
・望月久:メカノセラピーと理学療法.PTジャーナル,2020
・Kopeinig C, et al:Fascia as a Proprioceptive Organ and its Role in Chronic Pain.2015

