デスクワーカーがむくみやすい理由を作業環境から解説
デスクワーカーが作業するときの姿勢はほとんどが、座位姿勢(=座っている姿勢)です。
座位姿勢にもいくつか種類があり、床に足を伸ばして座っていることを「長座位」、あぐらをかいて座ることを「胡坐」などと呼びます。
私たちデスクワーカーの姿勢は、主に椅子などに座っている「椅座位(いざい)」と呼ばれるものです。
他の座位姿勢と違いは、「他の姿勢と比べて足が心臓より低い位置にある」という点でしょう。
足が心臓よりも低い位置にあるということは、他の姿勢よりも重力の影響を強く受けるということになります。
私たちは普段意識することはありませんが、常に重力の影響を受けています。
それは身体の中を流れる血液も例外ではありません。
私たちの体温は筋肉や内臓から発せられる熱や血液の温度によって決まります。
つまり血液が身体中をくまなく循環しているおかげで、私たちは体温を一定に保っているわけです。
椅子に座って、足が下がっている姿勢は、重力の影響によって、血液が心臓に戻りにくくなっており、そのため足の一部分に血液が通常よりも溜まっている状態になります。
すると血液は十分に循環できず、足の冷えを引き起こす可能性があります。
また血液が一部の場所に溜まっている状態では、血管から水が漏れ出してしまうため、「むくみ」を引き起こすこともあります。
血管は細長いホースのようなものをイメージすると思いますが、血管には目には見えない細かい穴が無数に開いていて、水分や栄養が細胞に流れるようになっているのです。
そのため、血流が滞ることによって、足の温度も下がり、足に水分が流れてしまい浮腫を引き起こします。
これがデスクワーカーの足が冷えやすく、むくみやすいメカニズムになります。
足が冷えたり、むくいやすかったりする状態は、簡単に言えば循環があまりよくない状態ということになります。
私たちが作業しているとき、一番働いているところは「脳」です。
脳には絶えず一定の割合の血流が送られていて、心臓一回の拍出量(心臓が一回の動きで血液を送り出す量のこと)の15%が脳に送られています。
15%と聞くとたいしたことはないと感じる方もいるかもしれませんが、脳の重さは私たちの体重の2〜2.5%しかないので、体重からの比率を考えるととんでもない量の血液を必要としていることがわかります。
椅子に座った状態で、心臓に返る血液量が減ると心臓が押し出せる血液量も当然ですが減ってしまいます。
そのため、長時間椅子に座って作業していると、全体の血液の循環量が減っているため、脳への血流も低下し、「集中力の低下」や「モチベーションの低下」などを引き起こす可能性があります。
これらの状態を解決するためには、運動が推奨されていますが、どのような運動が必要でしょうか。
最後に運動についても解説していきたいと思います。